全国的には8月の旧盆(8月13日~15日)が主流ですが、遠州地区は新盆(7月13日~15日)の地域と、旧盆の地域があります。中でも浜松市などは一つの町内でも新盆と旧盆に別れる地区もありますので、注意が必要です。
お盆には先祖の霊が帰ってくるとされ、霊を供養するために、仏壇の前に設けた盆棚にさまざまなお供物をして霊を迎えます。13日の夕方には故人の霊が迷わず帰って来るように『迎え火』を焚きます。
忌明け(七七日忌)後初めて迎えるお盆は『初盆』と言われ、さまざまな行事が行われます。
遠州地区は、全国的に見ても初盆の行事がとても大事に行われる地域です。
位牌の周りには華やかな盆飾りが施され、特別に設けられた祭壇には、忌明けの後、初めて里帰りする新仏の霊を迎えるためいろいろなお供物が置かれます。親族から贈られる回り灯篭や、親族・特に親しかった友人などから贈られる篭盛やお供物なども加わり、祭壇の回りは非常ににぎやかになるものです。
その祭壇を前にして『御施餓鬼(おせがき)法要』や、親しかった友人、知人や町内の方などがお参りにみえる『盆義理』、故人の霊を送りだす『松たき』などの行事が行われ、故人の霊を供養します。
初盆の家庭だけでなく、檀家全体がお寺に集まって行われる先祖供養の法要です。
初盆の家庭は特別に初盆飾りを施した祭壇に位牌を祭ってもらえるので、近親者はその前に座って読経を聞きます。読経の後、お焼香をします。
七七日忌や年忌法要などのように、僧侶を自宅に招いて行われる初盆の法要のことを『内施餓鬼』と言います。
お盆期間に行われることが多いものですが、初盆の檀家が多い場合は早めに行われることもよくあります。日時が決定したら、参列をしてほしい近親者に電話やハガキで通知を出します。
当日は近親者が参列し、僧侶の読経の後にお焼香をします。その後はそのまま会食となります。
初盆の場合は『寺施餓鬼』があるため、墓地へのお参りはありません。会食は自宅の場合は仕出し料理が多く、お食事処を利用する場合もあります。最後にお礼の言葉を添えて引出物をお渡しします。
13日、14日の夕方になると、故人と親しかった友人・知人や町内の方などが、次々と『盆義理』に訪れます。
これは初盆行事が盛大な遠州地区独特の行事です。
故人を偲ぶために、大勢の方が焼香に見え『盆供』をついて下さいます。
来てくださった方にはお礼の言葉を添えて『盆供返礼品』を渡します。金額的にたくさん下さった方や、内施餓鬼に招待していない方から篭盛を上げて頂いた場合などは、お葬式の香典返礼品と同じように『後返し』をします。
遠州地区、中でも浜松市浜名区でもっとも盛んに行われています
もともとは徳川家康が、三方原の合戦での犠牲者の霊を慰めるために、僧侶に命じて踊りを交えた大念仏を唱えさせたことから始まりました。現在は、依頼のあった初盆の家庭を巡り、祭壇の前で笛や太鼓、鐘の音を響かせながら歌舞を演じるというやり方になっており、郷土芸能としても全国的に知られているようです
お盆が終わるころになると、里帰りした霊を送るために『送り火』を焚きます。
正式には15日の夕方に焚くものとされていますが、遠州地方の初盆の家庭ではこの時に親族や隣保(組)の人々が集まり『松たき』という行事を特別に行う場合が多いため、早めに焚くところもあるようです。
『松たき』とは祭壇のろうそくの火を松に移して、軒先から門まで点々と並べた松に移しながら、門まで送り火を渡すことを言います。
最後に一つにまとめた松に青竹をいれ、その青竹を熱によって爆ぜさせます。
その時に響く「パーン」という音に乗って、新仏が天に帰ると言われています。この『松たき』を手伝ってくれる隣保の方には、お礼の言葉とともに手土産を渡します。
※上記の内容は主に浜松市浜名区での行い方となります。松たきは地域毎に独自の風習がある場合があります。
寺施餓鬼の場合は、特に引出物はありません。
内施餓鬼では、招待した親族に通常の年忌法要と同程度の引出物をお渡しします。
内施餓鬼の引出物も基本は5点、または3点です。
5点の場合は、七七日忌などの場合と同じく
・主な引出物(掛け紙をつけるもの)
・乾物(のり、鰹節、砂糖、麺類など)かそれに代わるもの
・引菓子(仏様への御供のお下がりとして)
・二合酒(お清めのお酒)
・おひらパン(黄泉の国へと旅立つときの草履の代わりといわれています)
という形になります。
3点の場合はこの中から、二合酒、おひらパンを省く場合が多いですが、厳格な決まりがあるわけではないので、例えば、主な品物に予算をかけたい場合などは「主な品物+引菓子+二合酒」とすることも、もちろんあります。最近では初盆の法要になると3点で揃える場合も多くなってきます。
『盆義理』に見えて下さった方に渡す返礼品は、大体500円くらいの実用品がよく使われています。
簡単なお礼文を添えてお返しするのが主流です。これに缶のお茶やジュースなどをつけるのが一般的です。
※当店でも新盆の2ヶ月ほど前から、盆供返礼品のご予約を承っております。お得な割引価格で提供させて頂きます。残ってしまった分は無料で返品を受け取り致しますので、安心してご注文下さい。また、返礼品に添える御挨拶文やビニール袋なども、無料でサービス致します。
盆供の場合もたくさんついて下さった方や、内施餓鬼に招待していない方から篭盛などの御供を頂いた場合は、葬儀の際の香典返礼品のように『後返し』をすることが多くあります。
品物には特に決まりはありませんが、よく使われるのは、食品類、お菓子類、洗剤・石鹸、カタログギフトなどです。ちょっとした挨拶状(御礼文)などを添えてお返しすると丁寧です。
当店では、お買い上げ頂いた品物には、こうした御挨拶状を無料でお付けしております。
『松たき』のやり方は町内や隣保(組)によって取り決めがあるところが多いので、事前によく確認することが大切です。
隣保(組)の方が集まる場合はお土産として、簡単な引出物を用意するのが一般的ですが、予算や点数なども、近年初盆があったお宅があれば、その例にあわせるのが良いかと思います。
よくあるのは1点や3点ですが、厳格な決まりはありません。
浜松を中心とした遠州地方の初盆独特のお供物として『施餓鬼米』があります。
お盆行事には一年の間に亡くなられた方、ご先祖様の供養をするとともに、すべての亡くなられた命を供養するという意味合いもあります。
そのための御供えが施餓鬼米です。
内施餓鬼の時に参列する方に自宅の祭壇に御供えして頂き、寺施餓鬼の時にお寺に納めます。
一升の白米を布の袋に入れて閉じたものに、筆かマジックで『御供 柴田一男』というように御供する方の氏名を書きます。
初盆供養をされる故人の性別によって袋の形は変わります。男性の場合は四角形、女性の場合は三角形となります。
当店でも初盆期間に販売しております。
※お寺さんによって供養の仕方に違いがある場合がございます。
※季節商品のため、品切れの際はご容赦下さい。
お盆は、仏教用語の『盂蘭盆会』から来ているため、神式の行事ではありません。
神式の場合は、本来初彼岸の時に法要を行います。
ただ、遠州地方は仏教の初盆行事が盛んな地域なので、神式でも仏式にあわせてお盆の期間中に『精霊祭』を行う家庭が多くあります。迎え火や送り火(松たき)などの行事は仏式に由来するものなので、神式の場合は行われません。
神式の家庭で初盆行事を行う場合は、仏式の内施餓鬼にあたる法事『精霊祭』が主になります。
精霊祭では五十日祭などの法事と同じように、神官を招いて祭詞を奏上してもらい、列席者が玉串を奉奠します。その後、自宅やお食事処で会食をし、最後にお礼の言葉とともに引出物をお渡しします。
遠州地方独特の初盆行事『盆義理』は、神式の家庭でも行われます。町内や親しかった方などがお参りに見えるので『盆供返礼品』を用意します。
近親者が初盆の家庭に御供えする代表的なものが篭盛です。
祭壇の周りに置かれることが多く、にぎやかな遠州地方の初盆に彩りを添えてくれます。
中身は実用的な調味料やジュース、コーヒーやフルーツ缶詰などの嗜好品などがよく使われています。
アル店内でも現物の見本を展示して、ご注文を承っております。
詳しくは本年の「初盆」ご案内ページをご覧下さい
※初盆ご案内ページはこちら。