五月五日の子供の日に男の子の健やかな成長と立身出世を願って行なわれる行事です。
特に子供が産まれて初めての端午の節句を『初節句』として、女性側の実家や濃い親族の方々から、五月人形や鯉のぼりなどが御祝として贈られます。
五月人形は四月の中旬までに飾りつけ、鯉のぼりも支柱を立てて五月五日の端午の節句の日まで、毎日揚げるようにします。
五月人形には『鎧兜』が子供を災いから守り、健やかにたくましく育つようにとの願いが込められています。
また鯉のぼりを揚げる習慣は中国の伝説から来ており、黄河の激流を登り龍になった鯉のようにとの立身出世への思いが込められています。
祝宴を催す場合は五月五日までの日の良い日を選び、家族や濃い親族などを招待し、五月人形や鯉のぼりを眺めながら和やかに祝い膳でもてなします。そして最後に御礼の言葉とともに引出物をお渡しするというやり方をされる方が多いようです。
特に御祝の席を設けない場合や、出席できなかった方には五月五日までの日が良い日を選んでお祝い返しを配って回ります。
初節句の場合も、ほかのお祝い事のお返しと同様に、割り切れない数として、1・3・5点など奇数で揃えるのが理想です。
予算的にはやはり頂いた御祝の半分を目安としている方が多いようです。
ただ、豪華な五月人形や鯉のぼりなどを頂いた場合には、必ずしも半分でなくとも良いでしょう。
品物としては特別な決まりはありませんが、昔からからよく使われる縁起物として、柏餅とちまきのセットがあります。
例えば、3点の場合は主な品物+柏餅+鰹節・二合酒・赤飯などの中からもう1点を添えて風呂敷にお包みしてお返しする…というパターンが多いようです。
とはいえ、柏餅も必ずつけなければいけないというわけではありません。
最近では留守がちのお宅や、少人数のお宅もありますので、パッケージに兜や鯉のぼりをあしらった洋菓子の詰合せを使う方も増えています。
端午の節句に柏餅を食べるのは日本各地に見られる習慣です。
柏の葉は新芽が出るまで古い葉が木から落ちないことから、『家系が絶えない』『子孫繁栄』などの縁起を担ぐとして、柏餅を食べる習慣が出来たといわれています。
中でも遠州地区には『大柏餅』といわれる、その名の通り大きな柏餅を食べるという独自の風習があります。
『大柏餅』は普通の柏餅の6~10倍もの大きさがあり、初子の御祝をして頂いた方へのお返しとして使われます。
全国的に有名な「浜松まつり」も長男(初子)を祝うお祭りです。浜松まつりに参加する地域では昼には凧合戦、夜には凧揚げの労をねぎらい振る舞い酒が出され、荒々しい練りを行います。